数学のブログ

空間と連続写像 連続写像と同相写像 直積、距離空間、全単射、位相同形

トポロジー入門 (松本 幸夫(著)、岩波書店)の第1章(空間と連続写像)、4(連続写像と同相写像)の演習問題4.1の解答を求めてみる。

直積

X×Y

の任意の元

a=(x1,y1)b=(x2,y2)c=(x3,y3)

に対して、

d'(a,a)=dX(x1,x1)+dY(y1,y1)=0+0=0

また、

d'(a,b)=dX(x1,x2)+dY(y1,y2)0+0=0

対称律について、

d'(a,b)=dX(x1,x2)+dY(y1,y2)=dX(x2,x1)+dY(y2,y1)=d'(b,a)

三角不等式について。

d'(a,b)+d'(b,c)(dX(x1,x2)+dY(y1,y2))+(dX(x2,x3)+dY(y2,y3))=(dX(x1,x2)+dX(x2,x3))+(dY(y1,y2)+dY(y2,y3))dX(x1,x3)+dY(y1,y3)=d'(a,c)

よって、

d'

は直積

X×Y

上の距離である。

写像fを

f:X×YX×Yf(x,y)=idX×Y(x,y)=(x,y)

と定める。

このとき、fは 全単射である。

任意の元

(x0,y0)X×Y

に対して、

ε>0

の任意の正の実数とすると、

d((x,x0),(y,y0))<12ε

ならば、

dX(x,x0)2+dY(y,y0)2<12εdX(x,x0)2<12εdX(x,x0)<12ε

同様に、

dY(y,y0)<12ε

よって、

d'(f(x,y),f(x0,y0))=d'((x,y),(x0,y0))=dX(x,x0)+dY(y,y0)<12ε+12ε=ε

ゆえに、 fは連続である。

また、

d'((x,x0),(y,y0))<ε2

ならば、

dX(x,x0)+dY(y,y0)<ε2dX(x,x0)<ε2dY(y,y0)<ε2

なので、

d(f-1(x,y),f-1(x0,y0))=d((x,y),(x0,y0))=dX(x,x0)2+dY(y,y0)2<(ε2)2+(ε2)2=ε

よって、 fの逆写像は連続である。

ゆえに、 2つの距離空間は位相同形である。

(X×Y,d)(X×Y,d')

(証明終)