数学のブログ

行列と双線形写像 対称作用素 対称行列、交代行列とその性質、和、一意性、行列式、零

ラング線形代数学(下) (ちくま学芸文庫) (S.ラング(著)、芹沢 正三(翻訳)、筑摩書房)の8章(行列と双線形写像)、3(対称作用素)、練習問題1の解答を求めてみる。

a

Mを任意の行列とする。

A = 1 2 ( M + M T )

とおくと、Aは対称行列である。

また、

B = 1 2 ( M - M T )

とおくと、

B T = 1 2 ( M t - M ) = - 1 2 ( M - M T ) = - B

なのでBは交称行列(歪対称行列)である。

このとき、

A + B = M

よって、 任意の行列は対称行列と交代行列の和としてあらわされる。

対称行列、交代行列の一意性について。

任意の行列Mが対称行列A、Bと交代行列C、 Dによって、

M = A + C M = B + D

とあらわされるとする。

このとき、

A T = A , B T = B , C T = - C , D T = - D
A + C = B + D a i j + c i j = b i j + d i j A T - C T = B T - D T a i j - c i j = b i j - d i j 2 a i j = 2 b i j a i j = b i j c i j = d i j

よって、

A = B , C = D

ゆえに、2つの行列は一意的に定まる。

(証明終)

b

Aで交代行列とする。

このとき、

A 2 = A ( - A T ) = ( i = 1 n j = 1 n a i j a j i ) = ( j = 1 n i = 1 n a j i a i j )

よって、

A 2

は対称行列である。

(証明終)

c

nて長政とし、 A が n x nの交代行列のとき、

det A = det ( - A T ) = ( - 1 ) n det A T = - det A

よって、

2 det A = 0 det A = 0

(証明終)